電話の先の、その人に伝えたい光景。
桜吹雪。高井戸インターで降りて渋滞に巻き込まれた今日。 晴れが続いたせいで、桜も桃もレンギョウもキブシも黄梅も慌てて一斉に咲いてしまって、ちょっと勿体ない今年の気象。かと思えば毎年2月に枯れる我が家の井戸も、例年より3週間早く渇水から復活。
桜吹雪。高井戸インターで降りて渋滞に巻き込まれた今日。 晴れが続いたせいで、桜も桃もレンギョウもキブシも黄梅も慌てて一斉に咲いてしまって、ちょっと勿体ない今年の気象。かと思えば毎年2月に枯れる我が家の井戸も、例年より3週間早く渇水から復活。
日本だとゲートボールなのかもしれないけど、同じような位置にあるスポーツ、ペタンク。 坂の多い市街地の中、坂と坂の間の、踊り場のようなところに小さな公園があって、そこでペタンクを楽しむ老人たちがいた。 熱の入ったゲームが続いている中、ある老人が投げた瞬間に、的との間に子供が変なポーズを取りながら走り込んできて、その子の膝に鉄の球が命中してしまった。 当たった瞬間、子供はびっくりしたような表情を見せ、次いで、しまった! という表情に、そして少し間があって、初めて痛みに気づいたらしく、猛然と泣き声をあげ、地面を転げまわっている。 球を投げた老人は、どうしたことか、彼も同じように膝を抱えてうずくまり、声を上げて動かなくなってしまった。 近くにいた女性がが子供に駆け寄り、心配そうにその子に声をかける。 ゲームに熱中していた老人たちは、心配そうでいながらも、若干水を差されたことに対する不快感を隠そうともせず、周りの人と「どうしてこんな不幸が起きるのか」と嘆いている。ペチュニアの葉を毟ったような青臭いいやな匂いが、見ているこちらにも伝わってくる。 対戦相手の老人が、的のボールに寄り、何か声を出しながらボールをゆっくり踏んだ。「ノーゲーム」ということだろうか。うずくまっていた老人が少し首を振ったように見えた。 しばらくしてようやく立ち上がった老人に、少しびっこを引きながら、その子が謝る姿が見えた。要はその一角はペタンク専用スペースで、ふざけてとは言え、飛び込んできたその子が悪い、ということらしい。 そうこうしているうちに、子供と老人は一緒に下り坂の方へゆっくりと、一歩一歩気遣いながら歩き始めた。やはり家族だったようだ。 その二人の前に、黒い猫が走り出て、何か言いたげに立ち止まり、小さく鳴き声をあげた。 子供が少し笑った姿が見えた。
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