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心の ししおどし

馬を繋ぐ棒。いわゆる綱木。

4年ほど前、南仏の山奥で農家に民泊したときに、

朝もやの中、庭を散歩していたら、ありました。

ここには馬はいないのだけれども、しっかりと縄目が残っていて、

使われていた感がありました。

 

ところが、朝食時にオーナーに聞いたら、ん? そんなのありましたっけ? と言われてしまう。あとでオーナーが自慢の庭を案内してくれるというので、一緒に見に行ってみると

 

「ああ、これは私がこの農家を買い取る前から立っていたものです」

「馬を繋ぐものだったんですね」

 

今年になってその民泊のサイトを覗いてみたところ、馬を飼い始めた様子があり、予約状況を見るかぎり大変繁盛している様子。我々が泊まった時は、他に誰も客がいなかったし、一カ月まるまる空室になっていたのに。

オーナーの男性が自ら不器用に朝食を作っているさま、お世辞にもおいしくなかったシャンピニオンのオムレツの味を思い出しました。夜も明ける前にバゲットを買いに出て、古いボルボで戻ってきたのを部屋の窓から見て「民泊って大変だなぁ」と思ったものです。

 

そして、そのサイトにはいくつもの美しい庭の写真とともに、この綱木に軽く背を凭れたオーナーの姿がありました。その傍らには立派な馬が二頭。

白馬と栗毛。

その下にこうありました。

「私は馬を愛し、馬とともに人生を歩んできました。」

 

 

石黒正数さんの漫画みたいな話ですが。

tunagi

「岩崎家に」

「ししおどしは ない」

「そもそも池がない」

「これは お父さんの心象風景―」

「心の ししおどし」

 


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