© 2018 3rd pétanque

pétanque

日本だとゲートボールなのかもしれないけど、同じような位置にあるスポーツ、ペタンク。

坂の多い市街地の中、坂と坂の間の、踊り場のようなところに小さな公園があって、そこでペタンクを楽しむ老人たちがいた。

熱の入ったゲームが続いている中、ある老人が投げた瞬間に、的との間に子供が変なポーズを取りながら走り込んできて、その子の膝に鉄の球が命中してしまった。

当たった瞬間、子供はびっくりしたような表情を見せ、次いで、しまった! という表情に、そして少し間があって、初めて痛みに気づいたらしく、猛然と泣き声をあげ、地面を転げまわっている。

球を投げた老人は、どうしたことか、彼も同じように膝を抱えてうずくまり、声を上げて動かなくなってしまった。

近くにいた女性がが子供に駆け寄り、心配そうにその子に声をかける。

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ゲームに熱中していた老人たちは、心配そうでいながらも、若干水を差されたことに対する不快感を隠そうともせず、周りの人と「どうしてこんな不幸が起きるのか」と嘆いている。ペチュニアの葉を毟ったような青臭いいやな匂いが、見ているこちらにも伝わってくる。

対戦相手の老人が、的のボールに寄り、何か声を出しながらボールをゆっくり踏んだ。「ノーゲーム」ということだろうか。うずくまっていた老人が少し首を振ったように見えた。

 

しばらくしてようやく立ち上がった老人に、少しびっこを引きながら、その子が謝る姿が見えた。要はその一角はペタンク専用スペースで、ふざけてとは言え、飛び込んできたその子が悪い、ということらしい。

そうこうしているうちに、子供と老人は一緒に下り坂の方へゆっくりと、一歩一歩気遣いながら歩き始めた。やはり家族だったようだ。

その二人の前に、黒い猫が走り出て、何か言いたげに立ち止まり、小さく鳴き声をあげた。

子供が少し笑った姿が見えた。


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